ミドリムシ・クロレラ・スピルリナの比較・解説
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナ。健康食品としても多く利用されているこれらの生き物は微細藻類という同じ仲間のグループです。どれも、すごく身体に良さそうな気がしますが、それぞれどんな特徴があるか知っていますか?
今回は、「ミドリムシ・クロレラ・スピルリナの比較・解説」と題して、それぞれの栄養食品としての特徴について比較、解説します。
日ごろの野菜不足や健康維持、美容などのためにサプリを始めようと思っている方は、違いを比較しながらご自身に合ったサプリを選ぶと満足度も上がると思いますよ。
この記事を監修した専門家
管理栄養士 阿部友美
【経歴】十文字学園女子大学卒業後、管理栄養士を取得。同大学で研究助手をしたのち、食品メーカーにて健康に関する情報発信や、共同研究先大学に出向し研究に従事。糖化反応によるメラニン産生作用を発見、特許出願。化粧品の開発にも携わる。
目次
1. 微細藻類とは?
2. ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの違いを比較・解説
3. まとめ
1.微細藻類とは?
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナは微細藻類という仲間のグループです。3つとも健康食品として利用されることから、共通点も少なくありません。そんな、微細藻類の特徴を簡単に紹介します。
微細藻類は太古から生きている小さな藻の仲間
ミドリムシもクロレラもスピルリナも顕微鏡を使わないと見えない小さなサイズの生き物です。昆布やワカメのことを大型藻類というのに対して、これらの小さな仲間のことを微細藻類といいます。
地球上に生命が誕生したのはおよそ40億年前といわれていますが、かなり初期の頃に誕生したのが微細藻類です。
スピルリナの誕生は約30億年前、クロレラは約5億4000万年前、ミドリムシは約5億年前といわれています。人類や哺乳類が生まれるはるか前から地球上に存在していて、今こうして健康食品として使用されているなんて、なんだか不思議ですね。
これらの微細藻類は光合成をして酸素を作り出し、他の植物や動物たちが生活できる環境を作ってくれた生き物です。ですので、ミドリムシやクロレラが地球上に存在しなかったら、そもそも私たち人間は地球上に生まれてこなかったかもしれないんです。
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナは栄養豊富
これらの微細藻類に共通してみられる点に豊富に栄養素を持っていることが挙げられます。
- タンパク質、脂質、ビタミン類、糖質などをつくる
何億年もの長い歴史の中で、微細藻類たちはさまざまな環境の下で光合成をおこないエネルギーをつくり、蓄積し、変化させて、環境に適応してきました。その過程で、動物が生きるために必要なタンパク質や脂質、ビタミン、糖質などの豊富な栄養素を持つようになったんです。それぞれ持っている栄養素やその割合は異なりますが、豊富な栄養素を持っているという点では共通しています。
- ミネラルを豊富に蓄えている
海に含まれるカルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラル。これらは、人の健康にとっても大切なものですが、微細藻類たちはこれらのミネラルを体内に取り込んでいます。
2.ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの違いを比較・解説
次に、ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの違いについて簡単に紹介します。
健康食品を選ぶときにも違いが分かったら、どれが自分に合っているかわかりやすいですよね。
植物?動物?
微細藻類という名前がついていることからわかる通り、ミドリムシもクロレラもスピルリナもみなワカメや昆布などの藻の仲間です。
ただ、ミドリムシの特徴としては動物の特徴を持っている点があります(少し紛らわしいですが、虫というわけではありません。
>ミドリムシは「虫」じゃない!特徴やメリットを解説
それに対して、クロレラとスピルリナは植物性の特徴のみを持っています。
ミドリムシが動物性の特徴を持っている利点は2つあります。
- 細胞壁を持たないことから、栄養の吸収率がとても高いことです
- DHA、EPAやビタミンB1などの動物性の栄養素を多く含んでいること
ただし、スピルリナはとても不思議な生き物で、植物性でありながら動物的な栄養素の特徴を持っています。
- 細胞壁を持たないため、栄養吸収率がとても高い
- 光合成をしてでんぷんとグルコースをつくる(通常植物はでんぷんをつくります)
グルコースは動物性の糖類なので、でんぷんに比べ吸収が速いのが特徴です。細胞や筋肉のエネルギー源になる栄養素です。
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの特徴比較
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの特徴を、簡単に表にまとめると以下のようになります。
ミドリムシ | クロレラ | スピルリナ | |
---|---|---|---|
誕生 | 5億年前 | 5億4000万年前 | 30億年前 |
大きさ | 0.05mm | 0.002mm | 0.3mm |
栄養素の種類 | 59種類 | 50種類以上 | 50種類以上 |
独自成分 | パラミロン(食物繊維のような成分) | CGF(成長促進因子) | フィコシアニン(色素成分) |
栄養吸収率 | 93.1% | 40~60% | 95% |
ミドリムシに期待できるのは、日々の栄養をバランスよく補いながら、美容や健康へのアプローチなどです。
クロレラは、野菜の栄養を補いながら、食物繊維成分により、体の中からすっきりさせ、CGFにより、毎日はつらつ元気な生活を期待できます。
スピルリナは、野菜の栄養を補いながら、健康を維持し、美のサポートなどが期待できます。
栄養素の特徴
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナの栄養素の特徴について紹介します。
- ミドリムシ
「ミドリムシだけで必要な栄養が全て摂取できる」といわれるほど栄養バランスに優れています。アミノ酸のバランスの良さを示すアミノ酸スコアもクロレラやスピルリナ以上の84。また上述の通り、動物性の栄養素を豊富に持っているのも大きな特徴です。
- クロレラ
「生の緑黄色野菜の10倍に匹敵する」といわれるほどのバランスに優れた栄養食。ビタミン系の栄養素や食物繊維成分に関して特に優れています。1口に「クロレラ」といっても、20種類ほどの株があるため商品によって栄養価は少しずつ異なります。
・スピルリナ
スピルリナは野菜の栄養成分(カロテンやビタミンB群など)の補助、快適な生活をサポートするような栄養素が多く含まれています。
それぞれの独自成分
ミドリムシ、クロレラ、スピルリナにはそれぞれ独自成分があります。
- ミドリムシ
食物繊維のかたまりのような成分、パラミロンを含んでいます。
パラミロンの働きにより、体の中からキレイを期待できます。
- クロレラ
CGF;Concentrated Growth Factors(成長因子)を含んでいます。
- スピルリナ
化粧品としては、日焼けによる、シミ・そばかすを防ぎ、体のコンディションを保つ働きを持つフィコシアニンという色素成分を含んでいます。
3.まとめ
微細藻類(ミドリムシ、クロレラ、スピルリナ)について紹介しました。
どれも太古から地球に生存している生き物で、果てしない歴史を生き抜いてきただけのとてつもないエネルギーを秘めている栄養補助食品です。
栄養素の特徴は似ていてわかりづらい部分もあるかもしれませんが、栄養のバランスや独自成分、吸収率などの異なる部分もありますので、体の悩みや不安、求める機能によってご自身にあったものを見つけられると良いと思います。
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