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ドリムシの緑色に隠された進化と栄養素の秘密とは

ミドリムシは何色をしていると思いますか?
簡単すぎて驚かれたかもしれませんね。正解は「緑色」・・・ですが実は例外もあります。
今回は「ミドリムシの緑色に隠された進化と栄養素の秘密とは」と題して、ミドリムシの色の観点からミドリムシの持つ栄養素や生物としての不思議な魅力を紹介します。

管理栄養士

この記事を監修した専門家

管理栄養士 阿部友美

【経歴】十文字学園女子大学卒業後、管理栄養士を取得。同大学で研究助手をしたのち、食品メーカーにて健康に関する情報発信や、共同研究先大学に出向し研究に従事。糖化反応によるメラニン産生作用を発見、特許出願。化粧品の開発にも携わる。

目次

1. ミドリムシの緑色に含まれる栄養素とは?赤や白のミドリムシもいるって本当?
2. まとめ

1.ミドリムシの緑色に含まれる栄養素とは?赤や白のミドリムシもいるって本当?

ミドリムシの緑色に含まれる栄養素とは?赤や白のミドリムシもいるって本当?
学生の時に顕微鏡や教科書の写真で見た姿を思い返すと、ミドリムシってその名前の通り緑色をしていますよね?緑色をしていて植物のような機能を持ちながら動物のように自分で動き回る不思議な生き物なんですが、そんなちょっと謎めいた感じがあるミドリムシの「色のひみつ」についてまずは紹介します。

ミドリムシの緑色の正体は葉緑素(クロロフィル)

ミドリムシの緑色の正体は学校でも習った記憶がある葉緑素です。ミドリムシが持っている葉緑素はクロロフィルa、bという種類の葉緑素で、植物が光合成をするときに光を集める役割をもっています。
この緑色の素を持っているから、ミドリムシは植物のように日光・水・二酸化炭素を吸収して、エネルギーや酸素を作り出すことができるんですね。

クロロフィルは実は栄養豊富!

クロロフィルは実は栄養豊富!
クロロフィルは、光合成をするための物質ですので栄養素というわけではありませんが、実は摂取すると栄養素のような働きをしてくれることが分かっています。

ほうれん草やピーマンなど、濃い緑色の野菜を食べると体に良さそうな気がしますが、本当に健康に良い効果があったんですね。
「ミドリムシの色素クロロフィルとは?驚きの5つの効果!」

自然界には、赤色やオレンジ色のミドリムシもいる

自然界には、赤色やオレンジ色のミドリムシもいる
一口にミドリムシといっても、実はその種類は100種類以上あります。そして、イメージしづらいかもしれませんが、その100種類ほどの中には、赤色やオレンジ色のミドリムシも存在します。もはや、ミドリムシとはいえないような気もしますが・・・。
これらのミドリムシが、特殊な種類というわけではなく日本の川や湖などにも存在し、大量発生することもあります。
ミドリムシが赤やオレンジになる理由は、赤色のカロテノイドや黄色のキサントフィルなど緑色以外の光合成物質を体内に含んでいるからです。
カロテノイドはトマトに含まれるリコピンやニンジンに含まれるβカロテンなど、私たちにとってもおなじみの色素成分で、摂取するとビタミンAに変わるとても体に良い物質です。キサントフィルは、美容に良いといわれていて、パプリカやほうれん草に多く含まれています。
どんな色をしていても、ミドリムシには体の良い成分が含まれているということですね(健康食品や緑汁に使用されているミドリムシは、クロロフィルを豊富に含んだキレイな緑色をしています)。

白いミドリムシとは

白いミドリムシとは
自然界には、葉緑素を持たない突然変異種が発生しない限り存在しませんが、健康食品に使用されるミドリムシには、白いミドリムシも存在します。
白色の正体は、パラミロンという独自成分です。
パラミロンは、食物繊維のかたまりのような働きをすることが知られていて、摂取することで、体内からすっきり、すこやかな毎日が期待できます。
「パラミロンとは?ミドリムシ独自のすごい成分」
健康食品に使用される緑色のミドリムシには10~20%程度のパラミロンが含まれていますが、白のミドリムシはこの割合を55%まで高めて、パラミロンの効果を最大限発揮できるようにしたものです。パラミロンは白っぽい色をしているため、パラミロン含有率の高いミドリムシは白いミドリムシになるということです。

そもそもどうしてミドリムシは緑色をしているの?

そもそもどうしてミドリムシは緑色をしているの?
ミドリムシは5億年も昔から存在する生物なんですが、最初から緑色をしていたわけではないことが知られています。つまり、最初は光合成をすることができなくて、動き回ってエサを摂取していたということです。
その進化の過程はまだ研究されている最中で分かっていないことも多いのですが、ミドリムシは緑色の葉緑体を持った藻の仲間をエサとして摂取し、体内に取り込んで自分の体の一部にしてしまったと考えられています。こうして、動物と植物の性質を併せ持った「未来のスーパー食材」ともいわれる緑色のミドリムシが出来上がったということです。
そして、敷地面積あたりのミドリムシの光合成能力は、アマゾンの熱帯雨林の3倍ともいわれています。今、世界規模で地球温暖化や二酸化炭素濃度の上昇が叫ばれていますが、こうした問題をミドリムシが解決できる可能性も秘めているんです。
「ミドリムシの光合成が未来を変える!?」

2.まとめ

ミドリムシが緑色をしているのは、当たり前のこと過ぎて改めて考えるまでもありませんが、いろいろと調べてみると人間にとって豊富な栄養素が含まれていたり、例外的な赤やオレンジのミドリムシが存在したりと面白い事実がたくさん見えてきました。
ミドリムシが緑色をしているのは、大昔に葉緑素を持つ藻の仲間を体内に取り込んで自分自身の細胞の一部にしてしまったからだと考えられています。だからこそ、動物と植物の両方の栄養素を持つ「未来のスーパーフード」としての機能や、光合成による地球温暖化防止の働きなど、人と地球の未来を救うパワーを小さな体の中に秘めることができたのですね。

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